JALの実現したい野望
ナレッジマネジメントはBPRとは違い、企業組織を生き物とみなし、特にインフォーマルなレベルでの人と人との交流に注目するのが特徴である。
このため、90年後半からは、ナレッジマネジメント実践上、テーマを決めて知識を交換し合うコミュニティづくりが重要視されるようになる。
野村総合研究所(NRI)のナレッジマネジメント研究チームは、ナレッジマネジメントを実施するうえで、コミュニティ・オブ・プラクティス(実践できるコミュニティ)やエキスパート(専門家)・ネットワーク、ナレッジ・ワークショップなど小組織形態に注目して効率的なナレッジマネジメントのために「特に人と人との交流によるノウハウの混交やノウハウの流通を図る暗黙知重視戦略をとうになり、八九年には米国企業の間で「知識資産管理研究会」が開催され、欧州でもナレッジマネジメント・ネットワークが活動を開始した。
「ナレッジマネジメントをする場合には、これらは必須の組織形態である」とコミュニティづくりが重要視されるようになった理由を述べている。
中でも欧米で最も注目されているのが、コミュニティ・オブ・プラクティスである。
これは、アメリカ企業の生産性や経営品質の向上のために設立されたAPQCのCEO(経営責任者)カーラ・オーデール氏が提唱オーデール氏がいうコミュニティは、違うスキルを持った人たちが同じ目的の下に集まる「チーム」や同じような目的を共有している組織の集まり「グループ」のいずれでもない「草の根」的な組織であり、オーソライズされた非公式的な組織といった性格のものである。
そこでは何か具体的なテーマを決めて、参加者同士がナレッジの創造者(売り手)になったり、消費者(買い手)になったりする。
例を挙げると、「口コミ」がその一つだ。
どこかのメーカーの商品を購入して非常に満足した人が周囲の人にそれを宣伝し推奨する。
また、会社の中では、社内イントラネットを利用したり、社内組織にとらわれないで、フェース・ツー・フェースで意見交換や議論したりすることである。
これらの行動がナレッジマネジメントを促進することになる。
インターネットでコミュニティ形成が容易にナレッジマネジメントを実践する上で、なぜコミュニティ・オブ・プラクティスが重要視されているかというのは、野中氏の理論に照らし合わせるとよくわかる。
新しい知識の創造は、個人が所有している暗黙知を人とのコミュニティを通じて共有化することから始まり、それを増幅、変換し、再び暗黙知に転換していく中で生まれる。
暗黙知を明確な形に変える表出化のプロセスでも、また表出化で生まれたコンセプトを体系化する連結化のプロセスでも、さまざまな人が集まっているほうが、より豊かな知識が創造されることは想像に難くないだろう。
オーデール氏はインターネットによるコミュニティ形成に言及している。
「コミュニティがなぜ重要かというと、インターネットの出現によってコミュニティが簡単に形成できるようになったからです。
21世紀の課題でもあるのですが、ただ集まっているだけではなくて、何かを実践するということが重要になってくるのです」と語る。
アメリカ政府は、オーデール氏がCEOを務めるAPQCをはじめ、企業の経営品質を向上させる組織を援助しており、企業価値を評価する指標である「マルコム・ボルドリッジ国家品質賞」を設立するなど国家ぐるみで企業価値の向上に努めている。
定伸箭野切呆と定量的効果ナレッジマネジメントは今や世界中で注目されているが、具体的にどんな効果が生まれるナレッジの体菜干化とその習得、一元化されたデータベースは、顧客異対応の内容や品質を高めるだけでなく、同時にそのスピードも向上させる。
ナレッジマネジメントによる効果は定性的効果と定量的効果に分類される。
定性的効果とは、例えば技術者なら現場で問題解決ができる「問題解決能力」、開発者なら顧客のニーズを聞いて新商品を開発できる「商品開発能力」、営業マンであれば顧客対応優れている「顧客対応能力」といったものであるが、直接的な数字としてとらえることはナレッジマネジメントで何が変わるのか一方、定量的効果には製品の品質、スピードの向上、コスト削減、サービス向上などがナレッジマネジメントに例えば定型文書や提案書のひな型を使えば、作成時間の短縮になるだろう。
また、商品開発についても、蓄積されたナレッジを活用するほうが、まったく何もないゼロの状態から始める場谷より格奉俄にスピードは早い。
さらに、スピード向上が実現すれば、その結果として当然、短縮された時間の分だけ、当初かかっていたコストが削減される。
また、より早いタイミングで新商品やサービスを顧客に提供することができるようになり、顧客ニーズを早くつかむことができる。
蓄積された顧客情報データベースを活用して、顧客の問い合わせに対して一貫性のある適切な応対も可能になる。
アーサーアンダーセンでは、ナレッジマ、ジメントの最大の効果について、「知的資産の増加と企業変革のスピードの向上によって、企業価値が高められることである」としている。
ここでいうナレッジとは、データ・情報・知識・知恵のすべてを含み、特許(独占的な技術)、ノウハウなども指している。
企業変革のスピードとは、このようなナレッジを基盤として、顧客のニーズに対して迅速に対応できる能力である。
継続的改善方法を導入戦略の元となる年に一度の海外法人視察前でナレッジマネジメントについて詳しく見てきたが、その実践に当たっては、組織や人に対する評価が欠かせない要素となってくる。
ここでは、まず組織の評価について、マイクロソフトがどのように行っているかを見ていきたい。
一般的にはドラスティックな成果優先主義を採用していると思われているようだが、実際は継続的改善方法で行われている。
同社では組織の評価方法として、総合的な品質を高めることを目標に、効率化だけでなく創造性も追求する手法であるTQMを導入、「PLAN」(戦略に基づいて計画を策定する)、「DO」(計画に基づいて訂正と次期計画を準備する)、「CHECK」(計画に対し活動をレビューする)、「ACTION」(レビュー結果に基づく訂正と次期計画を準備する)の年間サイクルで評価を行っている。
これを端的に表しているのが「ビジネスの1年間のサイクル」だ。
マイクロソフトの会計年度は7月から始まるが、その六カ月前の1月に、ビル・ゲイツ氏をはじめとするアメリカ本社16人の役員による「ミッドイャー・レビュー(三国君胃きぐ一の葛)」が行われる。
これは、前年の7月から12月までの半年間の成果、問題点、改善点を分析するために、ョ−ロッパ、アメリカ、アジアなどの主要20カ国を約1カ月かけて回るというものだ。
その調査結果を基にして3月に開くのが「WWSIS」と呼ばれる戦略会議で、ここで翌年度の本社の戦略分野が策定される。
そして5月には世界中のシニア・マネージャクラスのリーダー(総括部長、部長など)約500人が本社に集結し、3月に策定した戦略分野をどのように具体化するか、全社的な方向性を具体化するための会議「WWSMM」を開く。
ここで議論する内容は製品計画、プログラム、マーケティングのスケジュールなどである。
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